回復段階では、関係者の中長期的なケア、実施してきたプログラムの評価/検証を行うことで学校コミュニティの回復を促進し、次なる危機に備えます。
対応段階では、すべての子ども、教職員、保護者を対象とした緊急支援プログラムを 実施し、学校コミュニティ全体の日常の回復を支援します。しかしながら、次に示すような人は、事件・事故、災害によって強い影響を受ける可能性が高いため、応急処置にとどまらず、当該校スクールカウンセラーや地域の専門機関による中長期的なケアが必要となります。
■中長期的なケアを必要とする対象者
●事件・事故、災害によって亡くなったり大きな被害を受けたりした子ども、
教職員などとの関わりが深かった<情緒的な近さ>
●事件・事故、災害の現場を目撃した、事件・事故、災害が起こった場所の近く
にいた<物理的な近さ>
●近い過去に起こった出来事とは無関係な事件・事故、災害や身近な人の死など
を経験した<時間的な近さ>
●もともと不安定で配慮が必要であった<不登校傾向、孤立傾向、家族の
サポートが弱いなど>
予防段階、準備段階、事後対応段階で実施してきたプログラムの評価
■フォローアップ研修(振り返り)
事件・事故、災害の規模により時期は異なりますが、学校コミュニティ全体が日常生活を取り戻した段階で、可能な限り教職員と緊急支援に携わった緊急支援チームメンバーで、フォローアップ研修を行います。事件・事故、災害発生の経緯、それまでの予防、準備の実態について振り返り、事後対応で実際に行って来たことについてその手ごたえを確認しあいます。
今回の事案の発生の経緯や対応について確認された内容は、次の危機の発生を防ぎ、生じた場合にもより適切に対応できる体制を整備する上で直接的に役立つと共に、学年ごとなどの小グループで、それぞれが考えてきたこと、感じてきたことを率直に分かち合う機会になれば、教職員のチームワークの回復・改善にもつながります。
■第三者による調査/検証
いじめ防止対策推進法や子供の自殺が起きたときの背景調査の指針によって、いじめに起因する重大事態*1や子ども児童生徒の自殺や自殺が疑われる事態が起こった場合に、学校・教育委員会は、心理、福祉等に関する専門家や弁護士、精神科医など第三者が加わった調査組織を設け、事実関係の明確化と再発防止に向けた提言を受けることを求められています。
この外部の専門家による調査/検証も、回復段階に位置付けられるものです。
*1 いじめに起因する重大事態とは以下の2つを言います(いじめ防止対策推進法第28条)。
●いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると
認めるとき。
●いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い
があると認めるとき。