学校コミュニティ危機への心の支援

~ 予防・準備から事後対応まで ~

緊急支援システムの構築


 

緊急支援システムを構築する上での3つのポイント

スクールカウンセラー組織内(都道府県の臨床心理士会など)での体制の整備

教育行政との合意形成

事件・事故、災害の発生から緊急支援チーム派遣までの標準的な流れの作成

 

スクールカウンセラー組織内(都道府県の臨床心理士会など)での体制の整備

適切な支援を実施するために、スクールカウンセラー組織内において、以下のことについて十分な協議と合意がなされている必要があります。

スクールカウンセラー組織において、緊急支援の位置づけを明確にする。

  例:学校への緊急支援活動を会員である当該校のスクールカウンセラーをバックアップする

    臨床心理士会事業とする。

教育行政のブロック単位に緊急支援を中核的に担えるスクールカウンセラー(コーディネーター)を

 育成する。

スクールカウンセラーの研修として、毎年テーマに取り上げ、スクールカウンセラーの役割の一つ

 として位置づける。

 

教育行政との合意形成

私たちは、緊急支援プログラムの実施主体を学校であると考えています。したがって、学校が教育委員会との協議の下で臨床心理士会などのスクールカウンセラー組織に緊急支援チームの派遣を要請したときのみ、スクールカウンセラーが関与することになります。適切な支援を実施するためには、日ごろから臨床心理士会などのスクールカウンセラー組織と市町村教育委員会、教育事務所(政令市教育委員会)などの関係者との間で、以下について十分な協議と合意がなされている必要があります。

 

緊急支援プログラムの必要性についての確認・合意

情報の流れ:事件・事故、災害など緊急事態の発生/発覚後の連絡経路についての確認・合意

緊急支援チームの派遣要請の方法についての確認・合意

教職員管理職の研修実施についての確認・合意

教育委員会指導主事等への研修会の実施

 

事件・事故、災害の発生から緊急支援チーム派遣までの標準的な流れの作成

以下に事件・事故、災害が発生した場合の標準的な流れの例を示します。

 

①事件・事故、災害の発生

②学校から教育事務所(教育委員会)への連絡

③教育事務所(教育委員会)から臨床心理士会などのスクールカウンセラー組織への連絡

 臨床心理士会より緊急支援チーム派遣についての検討依頼

④学校から当該校配置のスクールカウンセラーヘ連絡(スクールカウンセラーから学校へ連絡)

⑤スクールカウンセラー組織の地区担当役員(以下部会運営委員)より地域内緊急支援チームへの

 連絡、調整

⑥部会運営委員より当該校配置のスクールカウンセラーへ連絡

⑦学校—教育事務所(教育委員会)で緊急支援チーム派遣依頼についての検討

⑧教育事務所(教育委員会)より臨床心理士会などのスクールカウンセラー組織へ派遣要請

⑨部会運営委員より地域内緊急支援チームに派遣決定を連絡

 

緊急支援システム構築の意義

これまでの研究によって、緊急支援体制の構築について、以下の効果や課題があることがわかっています。

 

バックアップ体制やチーム支援が不安の軽減につながる。

マニュアルなどを通して緊急支援の流れについて見通しを持てる。

緊急支援を行う組織的体制が整備されていることは、学校危機という混乱した状況で、

 適切なタイミングに適切な支援を行うために重要である。

チームが機能していないことによる困難も多くあることが明らかになっており、

 効果的な支援チームのあり方を今後検討していく必要がある。

 

緊急支援体制を構築することは支援を実施するスクールカウンセラーや教職員にとって効果的だと言えますが、今後さらに効果的な支援のあり方を考える必要もあると言えます。

 

 

 

 

 

 

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