学校コミュニティ危機への心の支援

~ 予防・準備から事後対応まで ~

心理教育


 

心理教育とは

心理教育とは、「普通学級に在籍する子どもから成る集団(主に学級集団)を対象とし、子どもの心理的、社会的健康を増進することを目指した、心理学的知見、心理臨床実践を応用した教育実践活動」*1(安達, 2012)と定義されています。先に示した法律等で記されている、「心の通じ合うコミュニケーション能力」、「互いを認め合う人間関係」、「強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方」、「心の健康」などを育てることをねらいとした体験的な教育全般を指しています。

具体的には、学校現場において実施が容易なグループアプローチによる以下のものが主に実施されています。

ソーシャルスキルトレーニング(社会的スキル訓練/SST)

構成的グループ・エンカウンター

ストレスマネジメント教育

集団認知行動療法プログラムなど

 

*1:安達(2012)を参考に一部改変しています。

 

心理教育の必要性

子ども達の学校不適応(不登校、いじめ、暴力など)は、対人スキル*2の未学習、未習得が一因と考えることができます。不適応とまでは言わなくとも、対人スキルの低さから、程度はそれぞれであれ、様々な対人トラブルを抱える子どもたちも少なくないのではないでしょうか。

そのような背景や先述の社会的な状況からも、近年、子どもの学校適応に関する予防・開発的支援である心理教育の導入が広まりつつあります。

 

*2 対人スキル:良好な人間関係を結び、保つ為の感情の持ち方及び認知や行動の具体的な技術やコツのこと。

 

心理教育の分類

心理教育は、大きく以下の2つに分けられます。

 

基本的な対人スキルの獲得・維持を目的にしたもの「対人スキルアップ・プログラム」

特定問題に関する心理教育

 

前者を私たちは対人スキルアップ・プログラムと呼んでいます。対人スキルとは、良好な人間関係を結び、保つ為の感情の持ち方及び認知や行動の具体的な技術やコツのことで、対人スキルアップ・プログラムはその対人スキルを獲得・維持することを目的としたプログラムの総称です。特定問題の予防教育に関しては、対人スキルアップ・プログラムでの学習を基礎としながら、薬物乱用防止教育や自殺予防教育などの各テーマを関連付けて体系的に実施することで、より効果的な展開が可能になると考えられます。

 

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