学校危機をどう防ぐか
事件・事故、災害が起きる前の予防的な取り組みが重要であることは言うまでもありません。
近年、社会的にも、いじめといった危機的な状況の発生そのものを防ぐことや、困難な状況に遭遇しても対処できる力を育てて深刻な被害を予防するといった取り組みへのニーズが高まっています。
危機の発生予防や被害の予防に関わる教育・啓発の実施についての法律
■いじめ防止対策推進法(2013年制定・施行)
「心の通う対人交流の能力の素地を養う教育及び体験活動の充実を図ること
■いじめ防止基本方針(2013年策定)
いじめの未然防止の基本
「心の通じ合うコミュニケーション能力を育むこと」
「ストレスにとらわれることなく、互いを認め合える人間関係・学校風土を作ること」
■自殺対策基本法の一部を改正する法律(2016年制定・施行)
「学校は、当該学校に在籍する子ども児童生徒等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、当該学校に在籍する子ども児童生徒等に対し、各人がかけがえのない個人として共に尊重し合いながら生きていくことについての意識の涵養等に資する教育又は啓発、困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身に付ける等のための教育又は啓発その他当該学校に在籍する子ども児童生徒等の心の健康の保持に係る教育又は啓発を行うよう努めるものとする」(第17条)
予防の取り組みとしてできることは情報収集と心理教育の2つです。
❶情報収集
日ごろから、子どもの様子の観察、アンケート、面談などさまざまな方法を用いて、早期にリスクを発見して未然に問題発生を防ぐことが重要です。いじめ防止対策推進法の第16条には定期的な調査とそれに基づく対応が規定されています。
❷心理教育
心理教育とは、子どもたちのレジリエンスを高めることを目的として行われます。そのことによって危機的な状況に出会っても、子どもたちが深刻な心理的被害を負うことがないように予防することができるようになります。心理教育は、「基本的な対人スキルの獲得・維持を目的にしたもの」と「特定問題の予防や解決に関する心理教育」に分けられます。対人スキルの獲得・維持を基盤に特定問題に関する心理教育を進めていくとより効果的です。